量子応用工学研究室

分子動力学シミュレーションFirst-Principles and Molecular Dynamics Simulation



研究業績


代表的な研究テーマ

第一原理計算および分子動力学シミュレーションによる数値解析を用いて,GaNに代表されるワイドギャップ半導体の結晶成長,超格子や欠陥などのナノ構造,また物性に関する解析を行っています.


  • III-V族窒化物半導体超格子のバンドギャップの解析
  • GaN,AlN,InNで構成される超格子や混晶はその組成や構造によってバンドギャップが変化するため,原理的には窒化物半導体のみで赤外から深紫外まで幅広い波長領域に対応した光学デバイスを実現することが可能です.本研究では窒化物半導体超格子におけるバンドギャップと超格子の組成や構造との関係を明らかにすることを目的として,第一原理計算を用いてバンド構造の解析を行っています.
    GaNのバンド構造
    超格子構造 (superlattice)
    AlN/InN超格子のバンドギャップ


  • 気相成長条件下におけるGaN結晶表面状態の解析
  • 酸化ガリウムをGa原料として用いるOxide vapor phase epitaxy (OVPE) 法は排気口を詰まらせる固体副生成物が無く原理的には連続成長が可能であることから,バルクGaNの結晶成長法として期待されています.実用化に向けて研究が進められていますが,不純物の制御や成長速度の改善などまだまだ解決すべき問題が多く残っています.それらの問題解決には結晶成長過程,さらには結晶表面構造に関する知見が必須です.本研究では第一原理計算を用いてOVPE成長条件下におけるGaNの表面構造やO不純物の吸着に関する解析を行っています.
    GaNの表面構造
    表面状態図
    GaN表面へのO不純物の吸着


  • NaフラックスGaN成長における不純物添加効果の解明
  • 溶液成長では溶媒や添加物が触媒として働き,結晶成長に大きく影響することが知られています.しかしながら最適な溶媒や添加物を探すことは難しく,その原理について詳細な理解が求められています. Naフラックス法によるGaN成長では成長速度の増加や結晶形状の制御を目的として,LiやCa,Ba,Cなどの添加が試されていますが,中でも炭素は多結晶の発生を抑制し成長速度と収率を改善する効果があることが実験的に分かっています.本研究ではCがそのような効果を及ぼす原理解明を目的として第一原理計算による解析を行っています.その結果,C添加の効果はCとNの結合・分解反応と密接に関係しているということを明らかにしました.


  • その他のワイドギャップ半導体(SiCやGa2O3)や金属結晶に関する解析も行っています.
    • SiC溶液成長における溶液構造の解析
    • α-Ga2O3(0001)表面構造の解析
    • らせん転位を含むSiC結晶中の歪エネルギー解析
    • SiC表面分解法によるグラフェン成長シミュレーション
    • TiAl金属間化合物における転位挙動の解析


Links (関連学会等)

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